先日、SBISLの延滞連絡を受けたカナメ先生ですが、不動産担保付き案件だったこともあり、安心して回収結果を待っている状況です。
このようにリスクの高いソーシャルレンディングだからこそ、担保が付いていれば最悪の事態を避けることができます。ただし、一概に「担保付き案件」と言っても様々な落とし穴があるので注意してください。
LTV(Loan to Value)とは、融資額を担保評価額で割った指標です。
担保分析の際はLTVを目安にします。
担保評価額 | 融資額 | LTV |
---|---|---|
1,000万円 | 1,200万円 | 120% |
1,000万円 | 1,000万円 | 100% |
1,000万円 | 800万円 | 80% |
1,000万円 | 600万円 | 60% |
上の表を見ると分かるように、担保評価額に対して、融資額が小さいほどLTVの値も低くなります。つまり、LTVが低いほど安全性が高いということになります。
「評価額」と「実際に売却できる価格」というのは異なります。個人的な感覚ですと、理想を言えば70%以下が望ましく、現実的には80%以下なら妥協しています。
不動産の評価額にはいくつもの調べ方があります。代表的なものを紹介します。
実勢価格 | 実際の売買契約が成立した価格を参考にする方法。 国土交通省が公表している情報を使います。 |
---|---|
公示地価 | 国家機関が定期的に評価している公的地価を参考にする方法。 |
固定資産評価額 | 毎年課税されている固定資産税を参考にする方法。 |
鑑定評価額 | 不動産鑑定士に算定を依頼する方法。 |
不動産評価額を水増しするのは簡単なことですので、安易に信用してはいけません。各ソーシャルレンディング会社は、信頼性の高い外部機関を利用したり、複数の評価額の安い方を採用するなど、投資家からの信頼性を高める工夫をしています。
投資家が参考にするのは、基本的にはソーシャルレンディング会社が掲載している情報のみです。1案件ごとに時間をかけて裏付けを取っている余裕はありません。
そのソーシャルレンディング会社が嘘の表記をしていた場合、評価額やLTVについてどれだけ考えたところで無意味です。担保分析の前に事業者の信頼性を確保しなければいけません。
事業者リスクを見極めるには、定性的な判断力(数字では表せない情報に基づく判断)が必要です。
例えば以下のような考え方です。
「この人の周りはグレーな商売を意に介さない人がたくさんいる」
「この人は前科が付いたとしても、数億円のお金を手に入れば満足しそう」
「この人の経歴や能力だと、数億円のお金を奪うより前科が付く方の損失が大きい」
「これだけ条件のよい担保を持っていて12%の金利でお金を借りるのは変だ」
下記の情報は各サービスごとにランダムに選んだ案件を分析してみただけですので、各サービスの信頼性を総合的に判断するものではありません。
SBISL |
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不動産バイヤーズローンファンド 16号 6.5% / 12ヶ月 / 抵当権第1順位 / LTV:73.68% 評価方法は「弊社独自の基準」とのことです。SBIグループであれば信用することができます。2018年8月3日現在、実際にこの案件は延滞を起こして、担保売却を進めている最中です。 |
maneo |
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不動産担保付きローンファンド 1588号 6.1% / 14ヶ月 / LTV:計算不能 / 極度額の4,000万円まで融資予定
・物件1:評価額 3,400万円:抵当権第2順位 両物件の合計評価額は1億8,250万円です。評価には外部のTASというサービスを利用しています。先順位(他者による第1順位)に1億1,200万円の抵当権が設定されています。 これ以上の詳細は掲載されていません。穿った見方をすれば、物件2は第4順位なので1円も回収できない可能性があります。物件1から回収できたとしても満額回収は難しいでしょう。 |
クラウドバンク |
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不動産担保型ローンファンド 第168号 6.4% / 11ヶ月 / LTV:不明 LTVの表記はありません。抵当権順位の表記もありません。場所は「神奈川県横浜市」です。用途は「当該資金を用いて土地購入と造成する」とのことです。返済が遅延した場合、不動産を売却することで満額回収することは難しいでしょう。 |
オーナーズブック |
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渋谷区マンション第2号ファンド 第7回 4.5% / 26ヶ月 / 抵当権第2順位 / LTV:80% 評価方法は「外部専門家による査定額を参考」とのことです。場所は「東京都渋谷区」です。そこそこの保全性があります。利回りは低めですが、期間が長いのは楽で良いです。 |
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