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募集額の変化から危ないソーシャルレンディング事業者を見極めることはできるのか?

投稿日:2019年4月23日 | 執筆:カナメ先生
ここがポイント!
  • 募集ペースだけでは危ない事業者を見極めることは難しい。
  • 募集額とキャパシティの関係に注目すると危険度判定に有効。
  • 募集額が大きいと経営者が投資家を裏切りやすい状況になる。
  • 募集額が大きいと経営者本人に悪意がなくても問題が起こりやすくなる。
2019年3月8日にエーアイトラスト(トラストレンディングの運営元)が2度目の行政処分を受けたとき、私が最も気になったのは募集ペースの急激な変化でした。

2015年2.9億円
2016年12.5億円
2017年16.9億円
2018年52.7億円

このように2018年は2017年の3.12倍に急増しています。しかも、その内容は「公共施設内にゲートウェイ基地局を設置」「放射線物質の除去事業」「公共工事で使用する大型船舶建造」といった怪しいものばかりです。

そこで他事業者の募集ペースを比較してみることにしました。

ソーシャルレンディング各社の募集ペース [年別]

※maneoは複数化後(2015年4月~)のデータしか取れていません。

募集ペースだけでは危険を察知できない

トラストレンディングの3.12倍は非常に大きな数値とはいえ、SBIソーシャルレンディングは2.27倍、オーナーズブックは2.4倍、クラウドクレジットは2.42倍だったため、異常値と確信できるほどの差はありませんでした。

問題はキャパシティを超えた募集額

募集額を「事業者の信頼性を測る目安」に使うときは、キャパシティと募集額の関係に注目すると良いようです。ここで言うキャパシティとは経営者の能力、会社の規模、信頼性、歴史などを示しています。

SBIソーシャルレンディングが年間463億円を集めることに違和感はありません。クラウドクレジット(96.6億円)も妥当だと感じます。オーナーズブック(64.3億)は少し抑えているぐらいに感じます。
クラウドバンク(208.9億円)、LCレンディング(122.9億円)は判断に困るところです。クラウドバンクはキャパシティを広げる努力をしているように感じられます。
×maneo(613.9億円)、クラウドリース(97.3億円)、トラストレンディング(52.7億円)は明らかにキャパオーバーです。
×詐欺まがいのデフォルト(債権譲渡)を起こした、みんなのクレジット、ラッキーバンクは競うように募集額を伸ばしていました。

募集額がキャパシティを超えると何が問題なのか?

(1) 手に負えなくなる
(2) 1つ1つの判断が甘くなる
(3) 募集額を増やすことだけが目的になる
(4) デフォルトしてしまったほうがメリットが大きくなる
(5) 悪い考えをもった人(詐欺師など)が寄り付いてくる

このような問題点があります。

(1)~(2)は「優秀な経営者&十分なスタッフ数」で対応できます。

(3)は見栄っ張りな経営者が売上を競う状況と同じです。気持ちは分かります。
洗練された経営者であれば安易に募集額だけを追い求めることはしません。

(4)は真面目にソーシャルレンディングを経営して数千万円~数億円の手数料収入を得るより、募集した数十億円を持ち逃げするメリットのほうが大きい状況です。

(5)はよくある話のようです。戦後最大の被害を出した安愚楽牧場にも多くの「たかり屋」が出入りしていたそうです。悪い人が入り込む隙のある経営者は、本人に悪意はなくても投資家に大きな被害を与えることになってしまいます。

カナメ先生
この記事を書いた人
21歳から投資をはじめて投資歴23年。ソーシャルレンディング歴9年。運用資産4億円以上。
IT会社経営、薬局経営、新築アパート投資、株式投資、REIT投資、クラファン投資などの幅広い経験が武器であり、「凡人なりに出来ることをコツコツと堅実に行うこと」がモットーです。
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