2022年3月11日、鶏卵大手のイセ食品が会社更生手続きに入ったと発表されました。
負債総額は約453億円です。金融機関との間でつなぎ融資を受ける契約を締結済みのため、事業継続に当面の問題はない(関係者)とされています。
イセ食品と言えば気になるのがバンカーズで組成されたファンドです。
最終的に融資実行には至りませんでしたが、投資家からはバンカーズの審査能力に対する不安の声があがっています。
バンカーズから発表された見解を詳しく解説したいと思います。
・イセ食品の公式サイト
・伊勢の卵 Next Century サポーターズファンド
・当サイトのファンドに対する分析記事
・バンカーズのイセ食品株式会社の会社更生手続開始に係る見解
・バンカーズ掲示板
1年程度で元本回収可能と明言しています。
利息については「更生計画で認められる範囲」までは付くという認識です。
今回当社が募集した本ファンドの匿名組合出資金を原資とする融資金合計10億円の資金使途は、運転資金として他金融機関から融資を受けた既存借入金への返済資金であり、当社による融資金の返済原資についても、イセ食品から提出された事業計画に基づき、イセ食品の自己資金及び当社又は他金融機関からの借り換えが想定される旨を説明しています。
たしかにその通りです。
投資先信用力は2.0(MAX5.0)と評価されていました。「借手が破綻した場合でも、当該第三債務者からの支払を基に回収を図ることができる」とも書かれています。
しっかりとした保全を目的とした明確な融資実行条件です。
この条件の厳しさが融資中止に繋がったのかもしれません。
会社更生手続では、更生手続開始決定時、更生会社の財産に設定された担保権の被担保債権(元本のほか、利息又は損害金については更生手続開始後1年を経過するときまでに生じるもの)は「更生担保権」として取り扱われることから(会社更生法2条10項)、仮に当社が融資を実行していた場合、イセ食品の売掛金債権に設定された譲渡担保権の被担保債権である融資金債権が「更生担保権」に該当します。
会社更生手続では、担保権者は個別に担保権の実行をすることができず(会社更生法50条1項、24条1項2号)、裁判所で認可された更生計画に基づき更生担保権者として弁済を受けることになりますが(会社更生法205条2項)、更生担保権として認められる金額は、担保権の目的となる財産の更生手続開始決定時における「時価」であるとされています(会社更生法2条10条)。
債権譲渡担保権についての時価評価方法には複数の考え方がありますが、当社がイセ食品に対する融資実行条件とした評価方法及び保全措置(上記融資実行条件②及び④)であれば、譲渡担保権の対象となる売掛金債権の評価額が融資金債権額を上回ることは確実であったと考えています。
なお、更生手続開始決定から再生計画案認可までの期間は個別事情により異なりますが、過去の会社更生事件における取扱いを参照すれば、更生手続開始決定から1年程度で認可となる事案が通常と考えています。
会社更生手続における融資金回収について詳しく解説しています。
・甘くない融資実行条件を突きつけた
・結果としてイセ食品側から融資をキャンセル
・バンカーズがイセ食品破綻に対する見解を公開
このような要素から考えるとバンカーズは適切な行動をしたと思います。
今回の「バンカーズの見解」はとても参考になりましたが、「投資家に心配をかけた」「バンカーズとしてはこのように考えているが物事に絶対はない」といったコメントがあれば好感度が上がったと思います。
「そもそも破綻するような企業に融資しようとするのはどうなの?」という意見もありますが、ソーシャルレンディングで融資をするのは倒産リスクの高い企業です。
私が友人と2年前に設立した合同会社でさえ1%台で融資を受けられる中で、利回り4~5%という水準は確実に高リスクの融資という認識が必要です。
私は「1つの出来事」や「事業者のコメント」で投資判断を大きく変えることはありません。今後も運営者の信頼性をベースに投資比率を決めていきます。
運営者の信頼性判断は
評価 | A- | バンカーズ(Bankers)の公式ホームページ |
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「そもそも破綻するような企業に融資しようとするのはどうなの?」という意見もありますが、ソーシャルレンディングで融資をするのは倒産リスクの高い企業です。
私が友人と2年前に設立した合同会社でさえ1%台で融資を受けられる中で、利回り4~5%という水準は確実に高リスクの融資という認識が必要です。
利回りの分リスクも上がるのは致し方ないのですが、判断材料たる募集時の情報はしっかりとしたものであって然るべきだと思います。