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ソーシャルレンディングより不動産クラファンの方が安全なのか?

投稿日:2021年2月27日 | 執筆:カナメ先生
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不動産投資クラウドファンディングtソーシャルレンディングの比較表

CREALから「不動産投資クラウドファンディングとソーシャルレンディングの違いについて解説」という記事が公開されたので、内容の抜粋と補足を行います。

不動産クラファン事業者(CREAL)による記事なので、バランスを取るためにソーシャルレンディング寄りの意見が多くなります。

不動産クラファンは投資物件に対してフルコントロールを有する

営業者では不動産の所有権を取得し、運用期間中の不動産の管理や運営は営業者で直接行うこととなり、投資対象不動産に対してフルコントロールを有します。
【CREALの記事より引用】

これが不動産クラファンの一番の特徴です。

・投資家 → 不動産クラファン事業者 → 不動産への投資
・投資家 → ソーシャルレンディング事業者 → 資金需要者 → ビジネスへの投資

ソーシャルレンディングは融資なので、資金需要者の動きを完全にはコントロールできないリスクが加わります。

どちらのケースでも事業者の信頼性は必須条件です。
一般的にソーシャルレンディングは担保を取ることでリスクの軽減を図ります。

不動産クラファンはガバナンス(統治)を強く効かせることができる

不動産クラファンは、事業者自らが投資先物件の所有権、つまり「自由に使用・収益・処分する権利」を有しています。これは一定の条件のもと優先権を有する担保権よりも強い権利となります。

仮に投資対象物件について何か問題が生じた場合でも、事業者の判断のもと迅速に対応することが可能となり、投資対象物件に対してのガバナンスを強く効かせることができます。

例えば、CREALでは以前募集したホテルファンド(Q Stay and lounge上野)がコロナ禍で運営難となったことを受け、ホテルからコロナ禍でも高い稼働が見込めるセットアップオフィスへのコンバージョン(業態転換)対応を迅速に行うことができました。

結果としてホテルファンド投資家の皆様には予定通りの配当を実施して本ファンドの運営を終了しております。

【CREALの記事より引用】

たしかに「Q Stay and lounge上野」では多くの投資家が救われる結果となり、CREALの評価を大幅にアップさせました。

しかし、個人的には「目論見を外した」「新型コロナの多大な影響」があっても満額償還という結果に若干の不自然さを感じています。

ソーシャルレンディングは担保価値が重要

一般的なソーシャルレンディングでは、資金需要者の返済が滞る場合において、貸付の際にあらかじめ担保権が設定されている場合には、担保権を実行する法的手続きを踏むことにより資金回収を図る必要があります。

※担保設定がされていないケースもあります。

そのため、担保価値が重要となり、回収にも時間も要します。また、担保権が設定されていない場合には、資金需要者の他の債権者と同様の立場で、残余財産の分配等を通じて債権回収を図ることとなります。

【CREALの記事より引用】

ソーシャルレンディングの担保に関する基本知識の説明です。
回収に時間を要するという点は重要です。

不動産クラファンの方が情報開示の透明性が高い

不動産クラファンは、事業者の判断で個別の物件毎に情報をすべて開示することが可能です。情報開示の度合いは事業者により異なりますが、一般的なソーシャルレンディングに比較して情報開示の透明性は高い傾向にあります。

一般的なソーシャルレンディングでは、資金需要者に対して、貸し付けた資金が約束通りの所定の目的に使われているか、予定外の借入返済資金に回っていないか等、営業者自身が常にモニタリングする必要があり、投資家の皆様は営業者を通じて間接的に貸付金の資金使途と運営状況についての透明性を把握することができます。

【CREALの記事より引用】

その通りです。

ソーシャルレンディングにおける資金需要者のモニタリングには限界があり、その点がソーシャルレンディングの大きなリスクになります。

優先劣後方式 VS 不動産担保の余力

不動産クラファンでは、事業者による劣後出資により、仮に損失が出た時でも事業者から優先的に損失を負担することで元本割れリスクを低減する仕組みが採用されています。

例えば、CREALではこれまで募集を行っている全ての投資商品について、投資金額のうち5~20%程度を当社が劣後出資を行なっています。

仮に各ファンド運営終了時に損失が発生した場合には、当社が拠出した劣後出資から優先的に損失を被る仕組みとしております。

投資家の出資はエクイティであるため当社で損失補填を行うことはできませんが、投資家よりも当社が優先して損失を受ける形により、投資家に寄り添うことを目指しております。

【CREALの記事より引用】

不動産クラファンの優先劣後方式は魅力的なシステムですが、ソーシャルレンディングの不動産担保の余力(LTVのマージン)も同様にリスク対策として機能します。

それだけにソーシャルレンディングでは「不動産担保の適正な評価額査定」と「LTVの値」が重要になります。

カナメ先生の見解

何度も言いますが「事業者が信頼できること」が第一条件です。
これが崩れたら全ての判断が無意味になります。

そのうえで比較すると「不動産クラファンのほうが透明性が高くリスクが低い」と言えます。さらに投資対象が不動産」に絞られている点も利点です。投資判断に自信がない方や、分析に時間をかけられない方は不動産クラファンを選ぶ方が無難です。

ソーシャルレンディングには「ビジネスの成否に関係なく資金需要者に返済義務がある」「利回りの高いプロジェクトファイナンス系の案件がある」などの利点があります。

ただし、ソーシャルレンディングには

・情報の透明性が低い
・どこにリスクがあるのか分かりづらい
・資金需要者の行動を完全に把握することはできない
・SPCへの貸付は実質的にリスクの高い投資になってしまう
・ノンリコースローンは実質的にリスクの高い投資になってしまう
といった罠があるので難しい投資です。

実際のところ不動産クラファンは「不動産投資」であり、ソーシャルレンディングは「融資ビジネス」なので全くの別物です。

どちらのシステムが優れているかは別問題として、個人的には不動産投資より融資ビジネスに興味があるので、ソーシャルレンディングが好みです。

※不動産クラファン(CREALなど)にも投資はしています。

特にソーシャルレンディングの中でもオーナーズブックは全案件に不動産担保があるのでおすすめです。

評価A+CREAL(クリアル)の公式ホームページ

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カナメ先生
この記事を書いた人
21歳から投資をはじめて投資歴23年。ソーシャルレンディング歴9年。運用資産4億円以上。
IT会社経営、薬局経営、新築アパート投資、株式投資、REIT投資、クラファン投資などの幅広い経験が武器であり、「凡人なりに出来ることをコツコツと堅実に行うこと」がモットーです。
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一言掲示板 : 情報交換、改善希望、質問など
[8854] カナメ先生(2021-03-02 09:25:58)
みなさんコメントありがとうございます。
質問に関しましてはCREALに問い合わせてみました。
後ほどシェアさせていただきます。
[8745] no name(2021-03-01 09:05:44)
不動産クラファンは物件への投資のつもりではなくクラファン営業者に出資する覚悟で、ということでしょうか。
[8667] no name(2021-02-28 10:32:43)
有事っていうのは突然くるから怖いですよね。
話題のT社でもそう。
投資家もSBIの株主もT社へ貸付の銀行だって必死ですよ。
自らは損したくない。
鉄火場とはよく言ったもの。
[8662] no name(2021-02-28 10:26:25)
8660
なるほど。それは単にレバレッジ案件ではないっていう意味でしかないということですか。
その可能性は考えてなかったです。
まー、レバレッジ案件かどうかはどこの会社であれ明示があるから、
その説明の有無はあまり自分には関係ないですが、確かにそうかもしれませんね。

有事の際に狙われるというのは仰せの通りでしょうかね。

[8660] no name(2021-02-28 09:56:06)
8583
【当物件を借り入れ等の担保には供しない】みたいなコメントは
あくまでそのファンドにレバレッジをかけないという意味では?
SBIの案件でよくあったのですが、
「この担保で後々追加の借り入れ、募集をする予定です」という記述の裏返しかと

ファンディング で募集した物件を後で勝手に担保にしたら当然アウトですが
そうしなくても有事の際には他の債権者に狙われるのが怖いですね。

[8657] no name(2021-02-28 09:17:45)
投資である以上は貸倒リスクはつきものです。しかし出資金の横流しや重要事項について事実と異なるような誤認を招く表示等の不正が起こりやすい今のSLは問題があります。金融庁には2018年の時点でここをしっかり制度として整備して欲しかったです。
[8593] no name(2021-02-27 15:45:03)
上場企業等へのリコースローン、事業者とのセイムボート出資、第三者の保証会社による債権買取保証等……担保はもちろん、こういった保全策がなければ今後のSLは難しいと思います。
[8583] no name(2021-02-27 13:55:14)
この間、募集していた「わかちあいファンド」の案件には、備考として、
【当物件を借り入れ等の担保には供しない】みたいなコメントが入ってました。
他の事業者さんでも入れているところはあるかもしれませんね。

見られる範囲でそういった記述があるかどうかとか、そういった動きがありそうな会社なのかどうか、
(社風、クラファン事業以外の事業への注視などで)しようかなと個人的には思いました。

[8581] no name(2021-02-27 13:37:57)
追記
クラファン会社が物件をクラファンで募集して、自分の体を大きく見せ
さらに銀行で借り入れを行い、他の事業に展開して最終的に営業者が破綻し、投資家の資金が差し押さえられた場合、
SLで借りた金を別の用途に使った問題と同じような金の流れに、結果的になってしまうと思います。
いかがでしょうか。
[8580] no name(2021-02-27 13:28:43)
詳細なSL,クラファンのリスク分析勉強になりました。
クラファンは物件の透明性が高く、運用会社が不動産を直接ガバナンスできる点においての利点がよくわかりました。
さて実際にクラファン投資をする上で我々の投資がクラファン会社の資産としてみなされ、銀行などに差し押さえられるリスクが現状最も怖いと思われます。
なぜならクラファンを行う会社はたとえ大企業であれディベロッパー系が多く、借り入れが過大になりやすい傾向があります。
「クラファン残高が営業者破綻の際に営業者の資産となるのならば
業者が不動産クラファンで資金を集めると、当業者のバランスシートが強烈に良化することになるんですかね。
営業者に対して融資する銀行などの金融機関は、いざとなればクラファン残高を差し押さえられるから、銀行としては安心して貸付できる?
クラファンの投資家は物件を買って投資しているつもりが、営業者の増資に加担していて営業者の倒産リスクをもろにかぶる可能性がありうるでしょうか」
という内容で掲示板で質問したところ、トーセイが不特法の3号で運用しており倒産隔離されていると教えていただきました。
このあたり私は素人でわかりませんが、明らかに示していただくと投資家も特にクラファン会社が安心なのか理解できそうです。
ご教示願えませんでしょうか?
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