貸したお金が返ってこなかった場合の保険となるものです。ソーシャルレンディングの担保で多いのは「不動産に抵当権を設定」というケースです。この場合、返済が滞ったら担保不動産を競売に出し、売却額から返済を受けることができます。
不動産以外の担保には「商品、売掛債権、株式」などがありますが、「換金性が低い」「拘束力が弱い」などの弱点があるので当てにしないほうが無難です。
不動産担保を見るときには「抵当権順位」に注意してください。
抵当権順位とはその名の通り「返済を受けることができる順番」です。
単純に「第一順位であれば安全」「第二順位だとダメ」というわけではなく、担保評価額、借入金額、抵当権順位のバランスが大事です。
ちなみに第一順位抵当権を設定したローンをシニアローン、第二順位以降の抵当権を設定したローンをメザニンローンと呼びます。当然メザニンローンのほうがリスクと利回り(融資金利)が高くなります。
信じられないかもしれませんが担保の評価額はソーシャルレンディング事業者の言いなりです。実際は3億円でしか売れないものを10億円と査定することも可能です。
(A) ソーシャルレンディング事業者の能力とモラルの問題
(B) ソーシャルレンディング事業者と借手に利害関係がある場合
(C) 成績を上げたい営業者個人が嘘を付く可能性
(D) 少しでも大きな融資を受けたい借手が嘘を付く可能性
ソーシャルレンディングの場合、これらの要素が絡み合ってくるため不動産担保の評価額には不安が付きまといます。結局のところソーシャルレンディング事業者の総合的な信頼性で判断するしかありません。
過去の例を見ると「利害関係のある企業への貸付け」はトラブルの温床となっているのでくれぐれも気を付けてください。
ラッキーバンク | 貸付先のほとんどが代表の親族が経営する会社。行政から「担保不動産の評価額が適切な工程を経たものではない」と指摘される。投資家に約33億円の被害を与えて業務を停止した。 |
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みんなのクレジット | 貸付先のほとんどが代表自身が経営する会社。行政処分により「担保情報に偽りがあった」ことが発覚。投資家に約31億円の被害を与えて業務を停止した。 |
グリーンインフラ レンディング | 貸付先のほとんどが代表自身が経営する会社。maneoから「調達した資金の用途が募集内容と異なっている」と指摘される。約134億円のファンドが延滞中。 |
ソーシャルレンディング事業者の評価額が適切な場合でも「不動産相場の下落」という抗えないリスクも存在します。
ただし、ソーシャルレンディングのファンド運用期間は1~2年程度であることが多いため、相場(市場)の影響で大損をする可能性は低いと考えられます。
不動産担保が設定されていてもソーシャルレンディング事業者が売却の動きをとらないかぎり投資家にお金が返ってくることはありません。
過去の例を見ると「ラッキーバンク」や「みんなのクレジット」は不動産売却を実施せず、捨て値での債権譲渡という暴挙に出たため、投資家は元本のほとんどを失う結果となりました。
この行動は投資家への裏切りであり「詐欺」と言っても過言ではありません。
ソーシャルレンディングは基本的に「リスクが高い貸し手に融資して高い利回りを得る投資商品」だと考えています。そのため初心者は不動産担保付きのファンドを中心に選ぶべきです。
また、不動産担保があることで借手は「返さないほうが損をする」という状況になりやすいため、延滞などのトラブルを防止する効果もあります。
もちろん担保査定を信頼できる事業者を選ぶことが前提条件です。
※プロジェクトファイナンス系や信用貸付け系などの例外もあります。
1 | まずは「みんなのクレジット事件」を学ぼう |
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4 | 様々な業界の貸倒率を知っておく |
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