SBIソーシャルレンディングの懸案事項に関する第三者委員会の調査報告が公開されました。調査報告書が長文なので気になる個所を抜粋して解説します。
・SBISLの発表 - 再発防止策等について(2021年4月28日)
・第三者委員会の調査報告書 - PDF(2021年4月28日)
・SBIホールディングス 2021年3月期 決算説明会資料 - PDF(2021年4月28日)
・テレ朝ニュース - 太陽光会社が融資金詐取か 特捜部が捜索(2021年4月28日)
・朝日新聞デジタル - SBI子会社の貸付先 東京地検特捜部が捜索(2021年4月28日)
第三者委員会の調査報告公開、SBIホールディングスの決算説明会、テクノシステムの家宅捜査の報道、これらが全て同日なのは大人の事情と言うことでしょう。
SBIホールディングスの力の大きさを感じます。
その結果、本来踏みとどまるべきであった融資を実行し、また、その回収を困難にしているのであり、当委員会は、これらの点において、SBISLの行為が、投資者に対する善管注意義務違反を構成するものと考える。
第三者委員会の考えとして「SBISLが善管注意義務違反した」と明言しました。
「自らの役割は投資者からの「集金」である」と経営トップは述べているが、その発言には、プロとしての意識が全く感じられず、会社全体としても一事が万事、そのような企業風土が醸成されていたのではないか、と推察される。
とても厳しい意見です。SBIグループは金融のプロフェッショナルという印象がありましたが、全てのグループ企業がそうだとは限らないようです。
また、不動産案件や発電所案件についてのプロジェクト・ファイナンスに対する審査は、高度な専門性が求められるものであるにも関わらず、SBISLは、こうした審査の知見を備えた担当者を配置していなかった。
「財務諸表の分析すら十分に行われた形跡がない」というのは酷すぎます。
これに対し、上場直前期にあたる2021年3月期は、売上高目標を1,119百万円(前期比131%)、営業利益目標を402百万円(前期比164%)として、意欲的に高い目標値を設定して営業活動を実施してきた。
上場を控えた状況の中、上記のような経営トップの姿勢に体を張って異を唱えることは、事実上極めて困難な状況となっていたものと思われる。
「フィンテックと言う成長業界で華々しく上場する」という誘惑が杜撰な行動を生み出してしまいました。maneoも似たような状態だったと思われます。
これに対して、SBISLが、熱海案件及び宮古島案件について、具体的な買手候補や借換資金の貸付人候補による買付や貸付の意向に関する客観的な資料を確認した形跡はない。
現地で聞き込みまでしてしっかりとチェックしている投資家がいることは心強いかぎりですが、投資家からの指摘はSBISLに届きませんでした。
当サイトのSBISL掲示板が閉鎖に追い込まれたのが2020年9月ですので、その頃から投資家同士の情報共有を恐れていたのかもしれません。
責任の所在が曖昧になることでトラブルが起こるケースはよくあります。
これもプロ意識の欠如です。
個人的にはこれが一番の問題だと考えています。たしかに「貸付先の審査やモニタリング」というのは非常に難しいと思います。しかし、特定企業関係の融資割合が43.8%という事実を公表することは簡単に出来たはずです。
北尾社長ならではの率直な物言いです。
ソーシャルレンディング事業からの撤退を視野に入れているとの公式発表です。
また、当社が、SBIホールディングスに設置された第三者委員会から2021年2月15日現在、聴取を受けた事実も一切ございません。
社会にはこのような方もいるという事実を忘れないように注意しようと思います。
あらためて「発言」に惑わされないことが重要だと認識しました。
・第三者委員会は善管注意義務違反だと判断。
・プロの受託者としての意識が欠如している。
・融資審査では財務諸表の分析すら十分に行われた形跡がない。
・上場という目標により周りが見えなくなる。
・投資家からの指摘も黙殺される。
・テクノシステム関連ファンドは全体の43.8%。
・SBIソーシャルレンディングの事業撤退を視野に入れている。
第三者委員会のレポートが非常に詳しく書かれていたため驚きました。
念のためパソコンにダウンロードして保存しておきます。
テクノシステム事件では非常に多くのことを学びましたが、やはり大事なのは「トップの姿勢と器」です。
今回のことを糧にして少しでも有益な情報を提供できるように頑張ります。
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