延滞 | 返済が滞っている状態。この状態から無事に回収できるケースもある。 本来であれば借り手は遅延損害金を払うことになる。 |
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貸し倒れ | 担保売却などをしても融資額の100%を回収できなかった状態。 その結果として貸し手は「元本割れ」となる。 |
※延滞 = 遅延 = 遅延 は同じ意味で使われます。
※貸し倒れ = デフォルト は同じ意味で使われます。
※元本割れ = 期失 は同じ意味で使われます。
いくらソーシャルレンディングが高金利でお金を貸しているとはいえ、大手ソーシャルレンディング事業者(オーナーズブック、クラウドバンク、Funds)の貸し倒れ確率は極めて低い水準(1%以下)を保っています。
巨額の資金を扱う場合は数学的な最適解を求めることが効果的かもしれません。
しかし、私たち個人投資家にとっては様々なケースを頭に入れておいたほうが実用的です。以下の表を何度も眺めて損失の可能性をイメージしておいてください。
(A) 運用資金100万円 / 利回り6% / 貸し倒れ1件(30%の損失) | ||||
分散数 | 投資額/案件 | 利益 | 損失 | 収支 |
---|---|---|---|---|
3 | 33.3 | 6 | 10 | -4 |
5 | 20 | 6 | 6 | 0 |
10 | 10 | 6 | 3 | 3 |
20 | 5 | 6 | 1.5 | 4.5 |
(B) 運用資金100万円 / 利回り6% / 貸し倒れ1件(50%の損失) | ||||
分散数 | 投資額/案件 | 利益 | 損失 | 収支 |
---|---|---|---|---|
3 | 33.3 | 6 | 16.6 | -10.6 |
5 | 20 | 6 | 10 | -4 |
10 | 10 | 6 | 5 | 1 |
20 | 5 | 6 | 2.5 | 3.5 |
(C) 運用資金100万円 / 利回り6% / 貸し倒れ1件(100%の損失) | ||||
分散数 | 投資額/案件 | 利益 | 損失 | 収支 |
---|---|---|---|---|
3 | 33.3 | 6 | 33.3 | -27.3 |
5 | 20 | 6 | 20 | -14 |
10 | 10 | 6 | 10 | -4 |
20 | 5 | 6 | 5 | 1 |
上の表を見ていると分散数が多いほど収支が増えるような気がしますが、実際は分散数が倍になれば貸し倒れにあう確率も倍になります。
分散数が増えるほど貸し倒れにあった時のダメージは小さくなります。しかし、メリットだけではありません。
≪分散投資によるデメリット≫
・分散数が増えるほど選定基準が甘くなる
・分散数が増えるほど手間がかかる
分散数の判断基準になるのが自分のリスク許容度です。
上記の表(C)を見て、1案件の貸し倒れ(100%)で「年間14万円のマイナスを受けたら耐えられない」と思う人は、分散数を10~20にしてください。
逆にある程度のリスクは許容できるので「手間を減らしたい」「自分の選定能力を試したい・信じたい」という人は分散数を10未満にしてください。
基本的には「利回りの高い案件=リスクの高い案件」だと考えてください。
具体的には、海外案件(特に新興国案件)、担保なし案件などがあります。
このような高利回り案件に投資するときは分散数を多くする(1案件あたりの投資額を少なくする)のがセオリーです。
いくら分散投資をしたところでソーシャルレンディング事業者の選定を間違えてしまえば水の泡です。
特に上場企業系(オーナーズブック、CREAL、Rimpleなど)以外に投資する場合は気をつけてください。
実際、案件を分散したにも関わらず、事業者自体が問題を抱えていたことにより、数百万円~数千万円の大きな損失を受けた投資家がたくさんいます。
※グリーンインフラレンディング、トラストレンディングなど。
ソーシャルレンディング事業者は同じ企業への融資を行うことがよくあります。
同じ会社への融資ファンドはリスク分散にならないため注意してください。
また、会社名が違っても実質的支配者が同じケースもあります。
同じ会社への投資に比べれば「リスク分散効果はある」と言えますが、同業種への投資はリスク分散効果が低くなります。
例えば、太陽光発電開発を行っている3社に投資しているとします。太陽光発電に関する致命的な問題の発覚や法律改定などが起きた場合、3社が同時期に貸し倒れを起こす可能性が高くなります。
厳密に考えていけば「地理的要因によるリスク分散効果の低下」など、他の要因もたくさんありますが、現実的には業種の分散だけで十分だと思います。