事業者 | 運用・貸倒状況 |
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クラウドバンク
(開始:2013年12月) |
累計応募総額1,840億円突破。現時点では融資元本回収率100%。条件の厳しい第1種金融商品取引業者に登録している。 |
オーナーズブック
(開始:2014年9月) |
順調な運営。大阪市中央区ホテル素地で延滞が発生。コロナの影響もあり、はじめての元本毀損が懸念される。 |
Funds(ファンズ)
(開始:2019年1月) |
上場企業関連会社を貸付先としているためリスクが低く、現時点の貸し倒れはゼロ。株主や経営陣の信頼性も高い。 |
クラウドクレジット
(開始:2014年6月) |
全体平均ではプラス(2.87%)を維持。海外案件なのでリスクが高く、多数のファンドで延長や元本毀損が発生している。 |
SBIソーシャルレンディング
(開始:2011年3月) |
大事件となったテクノシステムへの貸付をおこなっていた。SBIグループの損失補填により投資家は損失を免れる。2021年にサービス終了。 |
maneo
(開始:2008年10月) |
累計融資額1,600億円突破の元業界最大手。現在は84億円の延滞回収中(6億円の貸倒確定)。2019年にファンド募集停止。 |
まずは2022年6月24日現在の大手による貸し倒れ実態を確認してみます。
最大手となった「maneo」と「SBIソーシャルレンディング」が相次いでサービス停止となったのはソーシャルレンディング業界の未成熟さを表しています。
既存の事業者においては、海外ファンドを提供しているクラウドクレジット以外では貸し倒れや延滞はほとんどありません。
マイナーなソーシャルレンディング事業者は次々と大事件を起こしています。
事業者 | 貸し倒れ・延滞 | 発生時期 | 記事 |
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ラッキーバンク | 約33億円の貸し倒れ | 2018年 | 記事 |
みんなのクレジット | 約31億円の貸し倒れ | 2017年 | 記事 |
グリーンインフラレンディング | 約127億円の延滞中 | 2018年 | 記事 |
クラウドリース | 約55億円の延滞中 | 2019年 | 記事 |
トラストレンディング | 約52億円の延滞中 | 2018年 | 記事 |
ガイアファンディング | 約40億円の延滞中 | 2018年 | 記事 |
キャッシュフローファイナンス | 約8.9億円の延滞中 | 2018年 | 記事 |
アメリカンファンディング | 約2.3億円の延滞中 | 2019年 | 記事 |
信じられないほど大きな被害額です。
元々これらの事業者は信頼に足る事業者ではありませんでした。
加えて全事業者が利回り10%以上の高利回りファンドで投資家を集めていました。
「事業者の信頼性不足」と「高利回りファンドの怪しさ」といった要素から、私(カナメ先生)は上記8社には投資していません。
※厳密にはクラウドリースには調査目的で2万円だけ投資しました。
上の表を見ても分かるように、ソーシャルレンディング業界で相次いで事件が起きたのは2017~2019年の間です。
この期間に事件を起こした事業者は「ビジネスとは言えないレベルの杜撰な経営」か「詐欺まがいの計画」に当てはまります。
ただし、現在残っているソーシャルレンディング事業者の全てが安全とは言い切れないので注意してください。
日本では投資商品における損失補填は法律で禁止されています。
理由は「投資家の自己責任原則」を歪ませないためだと考えられています。ちなみに損失補填を法律で禁止している国は日本以外にはほとんど例がありません。
例外としてSBIソーシャルレンディングでは「金融商品取引法違反に該当する行為があった可能性が高い」という理由から親会社であるSBIホールディングスが多額の損失補填を行いました。
黎明期からソーシャルレンディングに投資してきた経験から「ソーシャルレンディング事業者の貸し倒れ率の低さは当てにならない」 と断言できます。
どれだけ貸し倒れ率が低くても、事業者が問題を抱えていれば最終的に大規模な損害を発生させてしまうためです。
重視すべきは「貸し倒れ率の実績」ではなく「事業者の総合的な信頼性」です。
ソーシャルレンディング事業者の格付け比較ランキングを参考にして、信頼できる事業者のみに投資してください。