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ソーシャルレンディング業界の貸し倒れ実態(デフォルト・延滞)

初回:2018年5月25日 | 更新:2022年6月19日 | 執筆:カナメ先生
ここがポイント!
  • 既存事業者の貸し倒れ率は低い。
  • 過去には数十億単位で被害を出した事業者が多数存在する。
  • 基本的にソーシャルレンディング事業者は損失補填をしてくれない。
  • ソーシャルレンディング事業者の貸し倒れ率の低さは当てにならない。

ソーシャルレンディング大手の貸し倒れ実態を確認

事業者 運用・貸倒状況
クラウドバンクのロゴ
クラウドバンク
(開始:2013年12月)
累計応募総額1,840億円突破。現時点では融資元本回収率100%。条件の厳しい第1種金融商品取引業者に登録している。
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オーナーズブック
(開始:2014年9月)
順調な運営。大阪市中央区ホテル素地で延滞が発生。コロナの影響もあり、はじめての元本毀損が懸念される。
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Funds(ファンズ)
(開始:2019年1月)
上場企業関連会社を貸付先としているためリスクが低く、現時点の貸し倒れはゼロ。株主や経営陣の信頼性も高い。
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クラウドクレジット
(開始:2014年6月)
全体平均ではプラス(2.87%)を維持。海外案件なのでリスクが高く、多数のファンドで延長や元本毀損が発生している。
SBIソーシャルレンディングのロゴ
SBIソーシャルレンディング
(開始:2011年3月)
大事件となったテクノシステムへの貸付をおこなっていた。SBIグループの損失補填により投資家は損失を免れる。2021年にサービス終了。
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maneo
(開始:2008年10月)
累計融資額1,600億円突破の元業界最大手。現在は84億円の延滞回収中(6億円の貸倒確定)。2019年にファンド募集停止。

まずは2022年6月24日現在の大手による貸し倒れ実態を確認してみます。

最大手となった「maneo」と「SBIソーシャルレンディング」が相次いでサービス停止となったのはソーシャルレンディング業界の未成熟さを表しています。

既存の事業者においては、海外ファンドを提供しているクラウドクレジット以外では貸し倒れや延滞はほとんどありません。

過去の中小ソーシャルレンディング事業者は問題だらけ

マイナーなソーシャルレンディング事業者は次々と大事件を起こしています。

事業者貸し倒れ・延滞発生時期記事
ラッキーバンク約33億円の貸し倒れ2018年記事
みんなのクレジット約31億円の貸し倒れ2017年記事
グリーンインフラレンディング約127億円の延滞中2018年記事
クラウドリース約55億円の延滞中2019年記事
トラストレンディング約52億円の延滞中2018年記事
ガイアファンディング約40億円の延滞中2018年記事
キャッシュフローファイナンス約8.9億円の延滞中2018年記事
アメリカンファンディング約2.3億円の延滞中2019年記事

信じられないほど大きな被害額です。

元々これらの事業者は信頼に足る事業者ではありませんでした。
加えて全事業者が利回り10%以上の高利回りファンドで投資家を集めていました。

「事業者の信頼性不足」と「高利回りファンドの怪しさ」といった要素から、私(カナメ先生)は上記8社には投資していません。

※厳密にはクラウドリースには調査目的で2万円だけ投資しました。

淘汰されたソーシャルレンディング事業者

上の表を見ても分かるように、ソーシャルレンディング業界で相次いで事件が起きたのは2017~2019年の間です。

この期間に事件を起こした事業者は「ビジネスとは言えないレベルの杜撰な経営」か「詐欺まがいの計画」に当てはまります。

ただし、現在残っているソーシャルレンディング事業者の全てが安全とは言い切れないので注意してください。

ソーシャルレンディング事業者は損失補填をしない

日本では投資商品における損失補填は法律で禁止されています。

理由は「投資家の自己責任原則」を歪ませないためだと考えられています。ちなみに損失補填を法律で禁止している国は日本以外にはほとんど例がありません。

例外としてSBIソーシャルレンディングでは「金融商品取引法違反に該当する行為があった可能性が高い」という理由から親会社であるSBIホールディングスが多額の損失補填を行いました。

貸し倒れ率の低さは当てにならない

黎明期からソーシャルレンディングに投資してきた経験から「ソーシャルレンディング事業者の貸し倒れ率の低さは当てにならない」 と断言できます。

どれだけ貸し倒れ率が低くても、事業者が問題を抱えていれば最終的に大規模な損害を発生させてしまうためです。

重視すべきは「貸し倒れ率の実績」ではなく「事業者の総合的な信頼性」です。

ソーシャルレンディング事業者の格付け比較ランキングを参考にして、信頼できる事業者のみに投資してください。

カナメ先生
この記事を書いた人
21歳から投資をはじめて投資歴23年。ソーシャルレンディング歴9年。運用資産4億円以上。
IT会社経営、薬局経営、新築アパート投資、株式投資、REIT投資、クラファン投資などの幅広い経験が武器であり、「凡人なりに出来ることをコツコツと堅実に行うこと」がモットーです。
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基本編の記事一覧

1 ソーシャルレンディングとは?
2 利回り7.0%という衝撃
3 どれぐらい儲かるのか?
4 初心者におすすめのSL事業者
5 どんな人に向いているのか?
6 どんな会社がお金を借りているのか?
7 ソーシャルレンディング業界の貸し倒れ実態
8 3種類のファンドタイプ
9 ファンドの選び方&チェックポイント
10 投資や分析が苦手な人のためのSL戦略
11 最適な分散投資のやり方
12 ソーシャルレンディングの税金
13 世界のソーシャルレンディングの歴史
14 日本のソーシャルレンディングの歴史
15 会員登録の手順や注意点
16 実際に投資するまでの手順
17 ソーシャルレンディングの3つのタイプ

一言掲示板 : 情報交換、改善希望、質問など
[486] ヤマキさんへ(2018-10-16 22:29:39)
利益の出ているSPCに飛ばすんじゃなくて、匿名性を利用して新規の案件として募集した資金で借り換えをしているだけでしょ。
そもそも銀行借入できない人達が借主だから普通に考えて貸倒率が低い訳がないです。事業者を見ても能力が高いとは思えないですよね。
[482] ヤマキ(2018-10-16 16:18:16)
貸し倒れが少ないのは、SPCを作って債権を飛ばしてるからですよ。
そして利益の出ているSPCに債権を飛ばすことによって、債務不履行の時の損失をSPCの利益にぶつけるんですよ。
債権を飛ばしてるんだから、そりゃ貸し倒れ率は低いですよ。
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