欧米に2~3年遅れて、日本でも「maneo」がソーシャルレンディングサービスを開始しました。当初は欧米のサービスと同様に個人間融資を提供しています。
国内2番目のサービス開始は「Aqush」です。
個人間融資の「AQUSHマーケット」や、世界最大手である米LenddingClubへの仲介サービス「AQUSHグローバルファンド」が注目を集めました。
国内3番目のサービス開始はSBIグループの「SBIソーシャルレンディング」です。
当初はmaneoと同様に個人間融資を提供していましたが、その後は「不動産担保ローン・証券担保ローン・再生エネルギー案件」にシフトしていきました。
10%を超える貸し倒れ率が問題となり、maneoが個人向け融資ファンドから撤退し、法人向け融資ファンドに方針を変更しました。
以降、日本国内のソーシャルレンディングサービスは全て法人向け融資ファンドとなっています。
日本で初めて証券会社として参入した「クラウドバンク」、東欧エリアなどの成長期待国への融資を行う「クラウドクレジット」、上場企業が運営する「オーナーズブック」など、独自性のあるソーシャルレンディングサービスが続々と登場しました。
2016年にはサービス提供会社数が20社になっています。
毎年2倍近いペースで伸びていたソーシャルレンディング業界の市場規模ですが、2017年には前年度比2.5倍の大躍進を遂げました。
市場規模は2016年の533億円から、2017年は1,316億円となっています。
急激な市場規模拡大により問題のある事業者が明るみになりました。
個人的には「詐欺まがいのやり口」だと感じています。
事業者 | 貸し倒れ・延滞 | 発生時期 | 記事 |
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ラッキーバンク | 約33億円の貸し倒れ | 2018年 | 記事 |
みんなのクレジット | 約31億円の貸し倒れ | 2017年 | 記事 |
グリーンインフラレンディング | 約127億円の延滞中 | 2018年 | 記事 |
クラウドリース | 約55億円の延滞中 | 2019年 | 記事 |
トラストレンディング | 約52億円の延滞中 | 2018年 | 記事 |
ガイアファンディング | 約40億円の延滞中 | 2018年 | 記事 |
キャッシュフローファイナンス | 約8.9億円の延滞中 | 2018年 | 記事 |
アメリカンファンディング | 約2.3億円の延滞中 | 2019年 | 記事 |
グリーンインフラレンディング、クラウドリース、ガイアファンディング、キャッシュフローファイナンス、アメリカンファイナンスの5社はmaneoマーケットのプラットフォームを利用していました。
さらに自社でファンドを組成していた「maneo」でも延滞多発したため、maneoマーケット株式会社は瀧本憲治氏が所有する株式84.95%をJトラストグループの藤澤信義氏に売却することとなりました。
現在はJトラストグループが債権回収を引き継いでいます。
2019年3月に金融庁からソーシャルレンディングの匿名化解除が公表されたことで、借り手の情報量が格段に増加しました。
問題のある事業者の淘汰や、匿名化解除などのルール改正によりソーシャルレンディング業界の健全な成長が続くことを願うばかりです。
負債総額150億円で倒産した太陽光発電関連会社「テクノシステム」に多額の貸付をしていたことでSBIソーシャルレンディングがサービス停止となりました。
第三者委員会からは
なお、SBIソーシャルレンディングのファンド購入者へは親会社であるSBIホールディングスが損失補填を行いました。
問題が多発したソーシャルレンディングに代わり、仕組み的に透明性や保全性の高い不動産投資型クラウドファンディングの存在感が増してきました。
(ソーシャルレンディングは融資型クラウドファンディング)
代表的なサービスとして「CREAL」や「COZUCHI」があげられます。
2019年から不動産クラファン業界を牽引してきたCREALは、2022年4月に東証グロース市場に上場を果たしました。