2023年6月6日にクラウドバンクから「伊藤忠丸紅住商テクノスチールとの連帯保証人トラブル」に関する続報が発表されました。
伊藤忠丸紅住商テクノスチールの部長により、代表印と取締役会議事録が偽造されていたという衝撃の展開です。
≪追記:2023年7月5日≫
・共同通信が「伊藤忠丸紅住商TSが警視庁に相談している」と報道
・元部長は貸付先(JEP社)の実質的オーナーであることが発覚
・貸付先:DR社(会員限定情報に正しい社名あり)
・延滞総額:約10億円
・運用終了予定日:2023年4月7日
・投資事業:バイオマス発電
ファンド名 | 募集額 | 利回り | 運用開始日 | 運用終了日 |
---|---|---|---|---|
バイオマス発電ファンド第369号 | 3.74億円 | 6.1% | 2022-09-30 | 2023-04-07 |
バイオマス発電ファンド第370号 | 3.36億円 | 6.1% | 2022-09-30 | 2023-04-07 |
バイオマス発電ファンド第371号 | 1.01億円 | 6.1% | 2022-09-30 | 2023-04-07 |
バイオマス発電ファンド第375号 | 0.85億円 | 5.9% | 2022-12-09 | 2023-04-07 |
バイオマス発電ファンド第376号 | 0.40億円 | 5.8% | 2022-12-27 | 2023-04-07 |
バイオマス発電ファンド第377号 | 0.45億円 | 5.4% | 2023-02-17 | 2023-04-07 |
これ以外に「本債務者以外を主要な融資先とするファンド」が5本あります。
融資実行前に連帯保証人の本社応接室にて取締役及び部長と面談した。 |
---|
部長は実際に伊藤忠丸紅住商TSの社員。 取締役は別人を伊藤忠丸紅住商TSの取締役として装っていた。 |
書類等は当時部長を務めていた者から直接クラウドバンクが受領した。 |
---|
・印鑑証明書 = 本物。 ・連帯保証契約書 = 偽物。部長が代表印を偽造して勝手に押印。印影鑑定書あり。 ・取締役会議事録 = 偽物。当該取締役会が連帯保証人において開催された記録はない。
つまり、クラウドバンクと連帯保証契約を締結した事実はない。
|
① DR社(借主) |
---|
一番問題のある企業です。借りたお金は返すべきです。
状況的に伊藤忠丸紅住商TSの部長に対して「偽造を促した」とも勘ぐってしまいますが、DR社としては「知らなかった」の一点張りになることでしょう。
|
② 伊藤忠丸紅住商TSの部長 |
---|
詐欺の容疑者ということになります。 ただし、一個人に10億円を賠償できるわけはありません。 |
③ 伊藤忠丸紅住商TS |
---|
偽造代表印により連帯保証契約が成立していないとはいえ、使用者責任(従業員がその立場を利用して第三者を欺いて損害を生じさせた)はあると考えられます。 |
④ クラウドバンク |
---|
悪意はありませんが完全に騙されています。ソーシャルレンディング事業者としての責任を果たしていたのかどうかは専門家ではないので分かりません。
「総合商社及び大手鉄鋼会社が出資する大手鉄鋼卸売業者が連帯保証人と表記して大金を募集したのはクラウドバンクである」という事実はあります。 |
⑤ 投資家 |
---|
一般レベルでの「投資家責任」を負う必要があります。
掲示板に「東証に上場しているインフラファンドはほぼ太陽光」と投稿されていましたが、実際にバイオマス発電所は非常にリスクの高い投資先です。 しかし、連帯保証人が「総合商社及び大手鉄鋼会社が出資する大手鉄鋼卸売業者」と表記されていれば、低リスクだと判断しても仕方のないところです。 |
・DR社と連絡は取れているのか?
・DR社は偽造問題に対してどのようにコメントしているのか?
・バイオマス発電所(SPC)は売れる見込みがあるのか?
・控えめに見積もって、いくらぐらいで売れるのか?
・控えめに見積もって、売却にどれぐらいの期間がかかるのか?
「誰が悪いのか」よりも「投資家にいくら返ってくるのか」のほうが重要です。
現実的にクラウドバンクや伊藤忠丸紅住商TSの責任追及には時間がかかるため、担保(バイオマス発電所)の売却見込みが当面の焦点となります。
・クラウドバンクで事件発生!大手商社系会社が連帯保証の事実はないと表明
・クラウドバンクと伊藤忠丸紅住商TSによる連帯保証契約トラブルの続報
今回のファンドは以下のような状況でした。
・事業 = リスク高い(バイオマス発電所)
・融資先 = リスク高い(債務超過、代表者名の記載なし)
・連帯保証人 = 安心(大手商社系合弁会社)
このように「連帯保証人がキーとなるファンド」で、しかも「融資先と連帯保証人の関係が分からない」というケースでは、念のため連帯保証人に問い合わせを行った方が良いということを学びました。
しかし、現実的に投資家がそこまで行うとなると、ソーシャルレンディングに投資するメリットはかなり薄れてしまいます。
トラストレンディング事件で完全勝訴!ソーシャルレンディングの闇を暴く | ||
オーナーズブック「大阪市延滞ファンド」の第18報!売買契約&決済完了でほぼ決着 | ||
オーナーズブック「大阪市延滞ファンド」の第17報!驚きの決済不履行 | ||
オーナーズブックの大阪市中央区ホテル素地が売却!回収率は何%になったのか? | ||
パチンコ大手「ガイア」が民事再生!クラファン投資家の15.2億円の行方は? | ||
全記事の一覧 |
遅延が発生するまで社名の表記は無かったのでは?