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クラウドクレジットがカメルーンファンドの回収活動終了!Ovamba社を訴えない理由

初回:2021年9月7日 | 更新:2021年9月9日 | 執筆:カナメ先生
Ovamba社(オバンバ)のスタッフ

2021年8月23日にクラウドクレジットがカメルーンファンドの回収活動終了を発表しました。これによりカメルーンファンドのデフォルトが確定となりました。

詳細について解説していきます。

参考記事

カメルーン・ファンド2021年8月時点の状況(公式・PDF)
クラウドクレジットのカメルーン案件で大規模デフォルト(2020年3月の記事)
カメルーン中小企業支援プロジェクト25号
カメルーン農業支援ファンド8号

カメルーンファンドとは

カメルーンファンドのスキーム図

ファンド名カメルーン中小企業支援プロジェクト、カメルーン農業支援ファンド
総募集額13.1億円(実際の運用額とは異なる)
平均利回り11.8%
募集時期2016年=22本、2017年=22本、2018年=6本
内容トレードファイナンス取引への投資

トレードファイナンス取引の説明
① 事業のために資金を必要としているカメルーンの中小事業者がいる。
② 事業者が取り扱う商品をOvamba社が市場価値の40~60%の価格で購入すると共に、事業者に対して一定期間後に売り戻す契約をします。
③ ②で得た資金を事業者は運転資金に回します。
④ 一定期間後にOvamba社は契約に基づいて、商品を事業者に売り戻します。
⑤ Ovamba社は購入時よりも高い価格で当該商品を売り戻すことで利益を確保する。

Ovamba社グループによる状況認識

当該ファンドのビジネスパートナーであるOvamba社の認識は以下の通りです。
状況を認識しやすくするために1ユーロ125円に換算して表示しています。

項目 金額
①Ovamba社グループの借入金額12.50億円
②完済したトレードファイナンス取引による利益0.36億円
③カメルーンにおけるトレードファイナンス取引の貸倒金額2.79億円
④Ovamba社グループのこれまでの返済済み金額7.40億円
⑤トレードファイナンス取引の回収費用2.14億円

①認識相違なし
②コメントなし
③取引自体(または貸倒れ)が架空だったという証拠を当社では検知せず
④認識相違なし
⑤納得しづらい点あり&証拠を請求するも提出されていない

Ovamba社からの償還率は約62%です。

ただし、一律ではないので大きく毀損している方は特に納得できない状況です。

貸倒金額(③)の妥当性について

現地の調査会社に依頼し、かかるトレードファイナンスの取引先より5社を選んでサンプル・チェックを行いました。その結果、5社ともについて、Ovamba社グループが当社に対して行った報告内容と矛盾する情報はありませんでした。
【クラウドクレジットの公式発表より引用】

トレードファイナンス取引の貸し倒れについては妥当性があるという結果です。

Ovamba社を訴えないのか?

Ovamba社に対する法的な請求余地はあり得るものの裁定結果が予測できず不確実性が残ること、および、もし一定の請求金額が確定するとしても、本件債務者およびOvamba社グループが小規模であるために、十分な現金を回収できる蓋然性が高くないことから、法的措置にかかる費用が現金回収額を上回る可能性が高く、そのため当社は、法的措置をとることが得策ではないと判断しました。
【クラウドクレジットの公式発表より引用】

・米国ニューヨーク州法における当社の顧問法律事務所
・エストニア法における法務顧問弁護士(CCエストニアグループの共同代表)

上記2者と協議を重ねた結果の判断とのことです。

コストと期待回収額を考慮して法的措置を取ることを断念したという結果です。

追記:2017年10月の販売再開の決断

時期期間募集総額
前期2016年3月~2017年4月7億2,800万円
後期2017年10月~2018年2月5億8,550万円

2017年5月以降販売を一時中断させていただいていた、当ファンドの再販を開始させていただきます。

販売中断の理由であった、現地の提携会社であるOvamba社における運用体制の改善がなされ、信用リスク管理、実質担保物である商品在庫管理及び資金需要者からの回収業務の品質に一定の向上が見られたことを運用担当者が現地訪問を通じて確認できたことから再販の運びとなりました。

【カメルーン中小企業支援プロジェクト17号より引用】

新興国でのハイリスク投資なので一定の損失は仕方ないところもありますが、販売再開したことで後期に投資した方が割を食った形になりました。

[参考] 各カメルーンファンドの募集日・募集額・予想分配率

カナメ先生の見解

トレードファイナンス取引が全くうまくいかなかった(約2.79億円の貸倒)うえに、回収費用として大金(約2.14億円)を取られてしまう結果となりました。

投資家 → maneo → グリフラ
投資家 → maneo → キャッシュフローファイナンス → A社など
投資家 → クラウドクレジット → Ovamba社

どれも似たような構図になっています。
特にOvamba社は海外にあるので監視がしづらいスキームです。

融資ビジネスは「所在地の明確な不動産担保」といった確固たる裏付けがないと本当に難しいのだと感じます。

クラウドクレジットは不動産クラファンや不動産担保付きソーシャルレンディングに比べて、非常に難しいことに挑戦しています。全体としてプラスを維持できるように頑張ってほしいと思います。

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この記事を書いた人
21歳から投資をはじめて投資歴23年。ソーシャルレンディング歴9年。運用資産4億円以上。
IT会社経営、薬局経営、新築アパート投資、株式投資、REIT投資、クラファン投資などの幅広い経験が武器であり、「凡人なりに出来ることをコツコツと堅実に行うこと」がモットーです。
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一言掲示板 : 情報交換、改善希望、質問など
[7629] カナメ先生(2021-09-09 09:44:44)
> 7491さん
お役に立てて嬉しいです。
オバンバ社に関してはファンド募集ページで以下のように説明されています。

Ovambaグループを統括するのはアメリカのOvamba Solutions Inc. で2013年4月に設立されています。Ovamba社はカメルーンのドゥアラで2014年6月よりサービスを開始しており、小売・資源・農業・インフラに関連する業者への与信審査のノウハウを蓄積しております。

[7628] カナメ先生(2021-09-09 09:40:15)
> 7551さん
ご意見ありがとうございます。
私もその部分は気になっていたので追記しました。
[7551] no name(2021-09-08 01:18:28)
今回のクラウドクレジット社からの説明、割とボカしてる部分があって、過去に一度このシリーズを打ち止めにしたのに、しばらくして確証持てないままに販売再開したから被害が10億円規模に拡大したんですよね。
その判断を主導したのが杉山社長です。
そういう責任の在処をはっきり言わないから、この会社には非常に不信感あります。
[7548] no name(2021-09-07 23:10:53)
これに懲りて二度と同じようなファンドは組まないことだね。
[7499] no name(2021-09-07 15:00:55)
米国セキュリティベンチャー事業者ファンド1号~5号も償還延期に、、自分は50ぐらいですけど、やっぱリスクが高いですね。クラウドクレジットなら実績のあるファンドのほうが安心です==
[7491] no name(2021-09-07 14:09:28)
とても分かりやすい記事ですね。勉強になりました。
日本から12億も貸付していたんですね・・・
オバンバ社は立ち上げ間もない会社だったんでしょうか。
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