ソーシャルレンディングの太陽光発電などの再生可能エネルギー案件を調べていると、「固定価格買取制度(FIT)」というキーワードをよく目にします。この「固定価格買取制度(FIT)」とは具体的にどんな制度なのでしょうか?
SBIソーシャルレンディングの「SBISLメガソーラーブリッジローンファンド」やクラウドバンクの「太陽光発電ファンド」への投資を検討する上で調べてみたので、制度の概要をまとめました。
そもそも再生可能エネルギーとは何を指すのでしょうか?再生可能エネルギーの利用促進を目的として制定された「エネルギー供給構造高度化法」では、こんな定義がされています。
この再生可能エネルギーは2017年時点で日本の電源構成全体の約15%を占めていて、大きく5種類に分けられます。
種類 | 割合 |
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①水力発電 | 7.6% |
②太陽光発電 | 5.7% |
③バイオマス発電 | 1.5% |
④風力発電 | 0.6% |
⑤地熱発電 | 0.2% |
【再生可能エネルギー合計】 | 15.6% |
【出所】環境エネルギー政策研究所「2017年暦年の国内の全発電量に占める自然エネルギーの割合(速報)」より
日本の再生可能エネルギー比率は西欧諸国と比較すると低い水準にあり、政府は2030年までに、再生可能エネルギー比率を22~24%まで高めることを目標にしています。
2017年5月に資源エネルギー庁から公開された資料では、主要国の発電比率と目標設定を国際比較しています。
【出所】経済産業省 資源エネルギー庁「再生可能エネルギーの大量導入時代における政策課題について」より
再生可能エネルギーの導入は政府主導で推進されています。固定価格買取制度(FIT)とは、再生可能エネルギー比率を高めていくために、政府がつくった制度です。制度の概要は以下の通りです。
制度の定義 | 再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度 |
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制度の目的 | 発電設備の高い建設・維持コストの改修見通しを立てやすくして、再生可能エネルギーの導入を促進するため |
制度の負担 | 電気会社が買い取る費用の一部を、電気利用者から再エネ賦課金(2.90円/kWh)として徴収 |
制度の対象 | 水力発電、太陽光発電、バイオマス発電、風力発電、地熱発電 |
【出所】経済産業省 資源エネルギー庁「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」より
事業用太陽光発電(10kW以上)を例にとると、買取価格・買取期間は以下の通りです。事業が効率的に行われた場合に通常必要となるコストを基礎に、適正な利潤などを勘案して、中立的な立場にある調達価格等算定委員会の意見を尊重し、経済産業大臣が決定します。
買取価格は、経済産業省から事業計画の認定を受けた時点で決定されます。買取価格は年々、低下しています。
▼事業用太陽光(10kW以上)の買取価格の推移
2012年(平成24年) | 40円+税 |
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2013年(平成25年) | 36円+税 |
2014年(平成26年) | 32円+税 |
2015年(平成27年) | 29円(27円)+税 |
2016年(平成28年) | 24円+税 |
2017年(平成29年) | 21円+税 |
2018年(平成30年) | 18円+税 |
買取期間は発電設備から電力会社へ電力供給を開始した時点からカウントされます。買取期間は制度開始時点から変更無しです。
▼事業用太陽光(10kW以上)の買取期間(調達期間)
買取期間(調達期間) | 20年 |
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固定価格買取制度の運営するための費用の一部は、私たちの電気料金から「再エネ賦課金」という名目で徴収されています。私の自宅アパートの12月検針票を確認したところ、しっかりと徴収されていました。電気使用量が261kWhだったため、再エネ賦課金は756円です(2.90円/kWh)。再エネ分野のソーシャルレンディング投資では、最低でも再エネ賦課金分は回収していきたいですね笑。
【出所】東京電力エナジーパートナー「くらしTEPCO>Web検針票」より
再生可能エネルギー案件はグリフラ問題のイメージから、なんとなく今まで避けていました。しかし、基礎からひとつずつ理解をしていく事で、だんだんと関心が湧いてきました。次回は「発電事業者が固定価格買取制度(FIT)の対象となる発電ビジネスを開始するまでの流れ」について調べたいと思います。