クラウドクレジット「アフリカ未電化地域支援ファンド」事業者へ丸紅が20億円出資

2019年6月3日、第三者割当増資で、クラウドクレジット「アフリカ未電化地域支援ファンド」事業者のAzuri社は大手総合商社の丸紅から20億円の出資を受けました。丸紅はAzuri社の筆頭株主（出資比率は50%未満）となりました。

【写真左】丸紅・電力本部長の横田善明氏、【写真右】Azuri社・CEOのSimon Bransfield-Garth氏

「アフリカ未電化地域支援ファンド」の調査記事はコチラ。

丸紅の狙いは「アフリカ×未電化地域」という巨大なマーケットです。

世界には未電化人口（電力の供給を受けられない人）が2016年時点で10億6000万人います。そして、この内、55％の5億8300万人がサブサハラと呼ばれるアフリカのサハラ砂漠以南の地域に住んでいます。Azuri社はこのサブサハラ地域で未電化地域支援ビジネスを展開しています。

【出所】経済産業省 資源エネルギー庁「平成29年度エネルギーに関する年次報告（エネルギー白書2018） HTML版」より

さらに、丸紅にとって、このサブサハラの電力ネットワーク構築はアフリカでの関連事業への糸口となります。

三菱商事や三井物産等の大手総合商社も同様の動きをしています。

2018/05	三井物産	ケニアのM-KOPA社へ出資。 アフリカ・Solar Home System事業へ参画。	リリース情報
2018/09	三菱商事	フランス電力公社と合弁会社を設立。 アフリカ・オフグリッド分散電源事業へ参画。	リリース情報

「アフリカ×未電化地域」に関する丸紅の動きは以下の通りです。

2018/09	東京大学発のベンチャー企業・ワッシャ社へ出資。 タンザニア・地域密着型電源事業へ参画。	リリース情報
2019/06	【今回】Azuri社へ出資。 アフリカ・ソーラーホームシステム販売事業へ参画。	リリース情報

ニュースリリースから丸紅の狙いを読み取ってみます。出資先2社との協業で、電力事業を越えた拡大・発展を目指している事が伺えます。

日経新聞の記事によると、具体的には通信事業や日用品販売事業などの生活消費のマーケットを狙っているようです。

Azuri社の狙いは「20億円の資金調達で可能になる①サブサハラ地域でのさらなる現業拡大と②潜在的市場の開拓」です。

この一連の出来事を受けてのクラウドクレジット杉山社長のツイートです。

「積極的に融資量を増やしていく」との方針を明確にしています。

そして、未電化地域支援のセクターが盛り上がる事を歓迎しています。

「アフリカ未電化地域支援ファンド」の募集履歴をまとめました。初回募集の米ドル建てファンドを除いて、すべて現地通貨建てのファンドです。

【米ドル建て】ファンド名	利回り	運用期間	販売金額
アフリカ未電化地域支援ファンド1号	5.7%	37ヶ月	1,000万円

【ウガンダシリング建て】ファンド名	利回り	運用期間	販売金額
アフリカ未電化地域支援ファンド1号	10.8%	25ヶ月	2,000万円
アフリカ未電化地域支援ファンド2号	10.7%	25ヶ月	1,500万円

【ケニアシリング建て】ファンド名	利回り	運用期間	販売金額
アフリカ未電化地域支援ファンド1号	10.7%	25ヶ月	2,200万円
アフリカ未電化地域支援ファンド2号	10.6%	25ヶ月	2,000万円
アフリカ未電化地域支援ファンド3号	10.5%	25ヶ月	1,000万円
アフリカ未電化地域支援ファンド4号	10.5%	25ヶ月	2,000万円
アフリカ未電化地域支援ファンド5号	10.5%	25ヶ月	2,500万円

【ナイジェリアナイラ建て】ファンド名	利回り	運用期間	販売金額
アフリカ未電化地域支援ファンド1号	12.5%	25ヶ月	3,500万円

もちろんクラクレ案件に付きまとう為替リスクは残るものの、「丸紅からの20億円の増資」は「アフリカ未電化地域支援ファンド」にはかなりポジティブなニュースです。

アフリカのサブサハラ地域には5億8300万人の未電化人口が暮らしています。日本の人口の約5倍です。そして、アフリカの人口は今後さらに増えていきます（参考）。