FXとソーシャルレンディングは、「リスクをとってお金を増やす」という共通の目的をもっています。しかし、その中身をみると明確な違いがあります。一般的には、FXは「ハイリスク・ハイリターン」であり、ソーシャルレンディングは「ミドルリスク・ミドルリターン」であるといわれます。
では、具体的にどんな違いがあるのでしょうか?実際に私が使っている「SBIFXトレード」と「SBIソーシャルレンディング」での実体験を具体例に、FXとソーシャルレンディングの違いを比較して、「FXもやる私がソーシャルレンディングってズルイじゃんって思った理由」について解説します。
FXとソーシャルレンディングの違いをまとめました。まず、そもそもの投資の仕組みが全く異なります。FXは「トレーディング」であり、売買差益である利ざやを狙う投資です。一方で、ソーシャルレンディングは「金貸し」であり、受取利息で稼ぐ投資です。その他、価格変動や流動性(換金性)、レバレッジなどの点で明確な違いがあります。
FX | ソーシャルレンディング | |
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仕 組 み |
為替レートが安い時に買って、高い時に売る(あるいはその逆) | お金を借りたい人へお金を貸して、利子をつけて返済してもらう |
価 格 変 動 |
投資元本の変動有り 元本変動で儲ける |
投資元本の変動無し |
流 動 性 |
いつでも決済でき、換金可能 | ファンド運用期間中は換金不可 |
レ バ レ ッ ジ |
最大25倍(国内FX会社の場合) | 無し |
FX投資の具体例を、SBIFXトレードのキャプチャ画像を使って紹介します。私が2019年1月9日に行ったNZD/USDトレードを紹介します。
日時 | 2019年1月9日 |
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通貨ペア | NZD/USD |
通貨枚数 | 10万通貨 |
エントリー | 【買い】0.676988 NZD |
イグジット | 【売り】0.678988 NZD |
損益pips | 20.00 pips |
実現損益 | + 21,712円 |
NZD/USDの15分足チャートから4時間足チャートまで全て上昇トレンドだったので、上昇トレンドが継続すると予想して、高値更新をしたタイミングでエントリー。目標値幅0.0020 NZD(20pips)を達成した時点でイグジットして、21,712円の利益を出したトレードでした。
ちなみに、翌々日のトレード記録はこちら。AUD/USDでエントリーした結果、21,753円の損失で、NZD/USDトレードで得た利益が一瞬で吹き飛びました。
私のFX口座の投資資金の推移を公開します。FXがいかにハイリスク・ハイリターンであるかわかると思います。1月3日のアップルショックのUSD/JPY大暴落で売りポジションを持てたので、10%以上投資資金が増えました。しかし、その後は年始の資金残高へ収束していきそうです。
日付 | 投資資金 | 損益 | 変動率(直近残高比) |
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2019/1/1 | 601,040円 | ||
2019/1/3 | 680,110円 | +79,070円 | +13.15% |
2019/1/4 | 681,069円 | +959円 | +0.14% |
2019/1/7 | 681,316円 | +247円 | +0.03% |
2019/1/9 | 692,578円 | +11,262円 | +1.65% |
2019/1/11 | 670,637円 | -21,941円 | -3.16% |
2019/1/15 | 624,371円 | -46,266円 | -6.89% |
2019/1/18 | 627,801円 | +3,430円 | +0.54% |
続いて、ソーシャルレンディング投資の具体例をみてみます。直近で投資をした、SBIソーシャルレンディングの「SBISLメガソーラーブリッジローンファンド19号」を紹介します。
ファンド名 | SBISLメガソーラーブリッジローンファンド19号 |
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予定年間利回り | 7.0% |
運用期間 | 9ヶ月(2019年1月〜2019年9月) |
投資金額 | 200,000円 |
配当予定総額 | 208,636円(源泉税2,212円控除後) |
配当予定日 | 毎月15日 |
このファンドでは、SBIソーシャルレンディング社を経由して、太陽光発電事業を手がける事業者へ資金を貸付けます。この事業者が貸付金に対する利息を支払い、その利息の一部が私たち投資家に還元されています。今日までの経緯と今後のスケジュールは以下の通りです。
2018/12/16 | ファンドへの申込み・匿名組合契約の締結 |
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2018/12/17 | 投資金額の振込 |
2019/1/4 | 運用開始 |
2019/2/15〜 | 利息の配当(予定) |
2019/10/15 | 投資元本の返済(予定) |
毎月決まった日に配当がされるので、給料日を待つようなワクワクした感覚を持てることが、ソーシャルレンディングの特徴です。
以上のような実体験を踏まえて、「FXもやる私がソーシャルレンディングってズルイじゃんって思った理由」を紹介します。
一つ目の理由は、「ソーシャルレンディングの方がやるべきコトが明確で、シンプルだから」です。FXでは「どの通貨ペアに、いくら投資するか」を決めた後、「いつエントリーして、いつイグジットするか(いつ投資実行して、いつ利益確定/損切りするか)」を自身で決めていく必要があります。莫大な資金量を動かす機関投資家、最近話題のアルゴリズムトレードなどが参戦する死屍累々の戦場の中で、食い物にされないように常に気を張っている必要があります。ゼロサムゲームのFX市場の中で、常に大きなリスクに晒された状態で、冷静な判断を持って、継続して勝ち続ける難しさを日々実感しています。
対照的に、ソーシャルレンディングでは「どのファンドへいくら投資するか」を決めて投資申込み・入金を完了すれば、あとは配当を待つのみです。投資したファンドが「延滞するか」、「デフォルトするか」、あるいは、「繰上げ返済されるか」などを、私たち投資家はコントロールできません。逆に言えば、投資前にいかに得するファンドを選定出来るかに尽きるといえます。信頼できるソーシャルレンディング業者を選び、ファンドの仕組みを正しく理解・納得した上で投資が出来れば、精神的にも安心した状態で、安定したリターンが得られます。
二つ目の理由は、「損しそうなときに何も出来ないから」です。誤解が無いように説明します。FXは元本変動があり、レバレッジがきく点がソーシャルレンディングとの大きな違いです。元本変動があると、いざ損失が拡大したとき、損切りを躊躇う心理が働きます。さらに、レバレッジがきいている場合、その心理はより強くなりやすいです。FXで資金を溶かしてしまう原因の多くはこの点にあり、FXはより強い自制心が必要とされます。一方で、ソーシャルレンディングの場合、デフォルトや延滞が発生した場合、私たち投資家にできることはありません。「できることが無い」というと響きは悪いですが、「損失を見送る」選択肢をもつFXと比べると、逆に「できることが無い」ことは強みであるともいえます。
三つ目の理由は、「関係者の利害が一致するから」です。国内のほとんどのFX業者ではOTC(DD)方式という注文方式を採用しています。細かな説明は省きますが、この方式では投資家とFX業者の利害関係は相反します。つまり、投資家が損をする程、FX業者は儲かります。また、ゼロサムゲームであるが故、投資家間で限られたパイの奪い合いが起こります。FXは「8割の投資家が泣き、2割の投資家が笑うゲーム」だとも言われます。
一方で、ソーシャルレンディングでは、「信頼できるソーシャルレンディング業者の信頼できるファンド」さえ選択できれば、貸付先企業、ソーシャルレンディング業者、投資家の利害は一致します。貸付先企業は事業拡大の為に資金を借入れ、事業計画に従って債務弁済を目指します。ソーシャルレンディング業者は、計画通りの分配・予定利回りを目指して、貸付先企業のモニタリングを継続します。これらが達成されれば、ファンドへ参加した投資家の「お金を増やす」という共通の目的は達成されます。ファンドが成功すれば、立場に関係なく、ソーシャルレンディングは「10割全員が笑顔になれるゲーム」です。
私の実体験をもとに、FXとソーシャルレンディングを比較してみました。個人的にはどちらの投資も続けていますが、投資を始めて4ヶ月が経過して感じるのは、「ソーシャルレンディングってズルイじゃん」って気持ちです。皆さんの投資の選択肢を検討する上で、参考にしていただけると幸いです。