クラウドクレジットで2018年12月27日から販売開始されたファンド「【米ドル建て】アフリカ未電化地域支援ファンド1号」を調査しました。期待利回り5.7%、運用期間37ヶ月とパッと見冴えないファンドですが、詳しく調べると非常に面白いファンドだったので、紹介します。私も30,000円を投資予定です。
私たちが毎日当たり前に使っている電気ですが、世界には未電化人口(電力の供給を受けられない人)が2016年時点で10億6000万人います。そして、この内、55%の5億8300万人がサブサハラと呼ばれるアフリカのサハラ砂漠以南の地域に住んでいます。
【出所】経済産業省 資源エネルギー庁「平成29年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2018) HTML版」より
今回の未電化地域支援はまさにこのサブサハラが対象エリアとなります。ケニア、ナイジェリア、ウガンダ、ガーナ、タンザニアを中心とした合計11ヶ国の未電化地域支援を目的としたファンドです。
「サブサハラに広がる未電化地域へどう電気を届けるか」をまとめました。
誰が | イギリス・ケンブリッジにあるZ社(Azuri Technologies社) |
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誰へ | アフリカの未電化家庭 |
商品 | 家庭用太陽光発電システム:PayGo Solar Power systems |
課金方法 | 携帯電話のSMSやスクラッチカードによるプリペイド方式の電子決済 |
2012年に設立されたAzuri Technologies社が今回のプロジェクトの事業主体です。PayGo Solar Power systemsという家庭用の太陽光発電システムを開発・販売している会社です。この太陽光発電システムをアフリカの未電化家庭へ設置することで、電力供給インフラが整備されていない地域で太陽光での自家発電が可能となります。また、特徴的なのは課金方法です。サブサハラ地域の国では、携帯電話普及率が非常に高く、ほとんどの成人は携帯電話を保有しています(【参考】総務省「アフリカ諸国での携帯電話の急速な普及」)。この携帯電話のネットワークを生かして、プリペイド方式の課金システムを構築しています。
未電化家庭が太陽光発電システムを導入するメリットをまとめました。
メリット1 | 灯油ランタンではなく、安全で、明るいLEDライトが手に入る |
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それまで利用していた灯油ランタンを使わずにすみます。灯油ランタンは危険で、臭いがきつく、十分な明るさは得られませんでした。これらすべての点において、LEDライトは勝ります。
メリット2 | 初期費用がゼロで、支払った分だけ使え、ランニングコストが半額 |
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利用者は非常に安価にこの太陽光発電システムを導入することができます。初期費用はかからず、プリペイド方式の従量課金で電気を利用できます。この地域で一般的な太陽光発電システムを導入しようとすると、通常は「現地で中古車を購入するのと同じ金額」の初期費用がかかるといわれているそうです。また、ランニングコストは灯油ランタンを使う場合と比較して、約半分の負担で済むとのことです。
メリット3 | 18ヶ月経過後、太陽光発電システムを無料で引き取れる |
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利用者は18ヶ月間システムを使い続けると、太陽光発電システム自体を無償で引き取ることができ、それ以降はランニングコストがかからずに電気を使えるようになります。Azuri Technologies社はこの18ヶ月間で、太陽光発電システムのコストを回収できるように、価格設定をしています。
メリット4 | 電力+αの付加価値を |
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2017年下半期からは、大手衛星テレビプロバイダであるzuku社と提携して、太陽光発電システムとテレビ、衛星テレビ受信用アンテナとを組み合わせたセット販売も開始しています。農業に関する情報番組を企画・発信するなど、ソフト面での付加価値の提供にも熱心に取り組んでいます。さらに、AIシステムへの投資も進め、天候や時間帯に応じた発電効率の最適化を図ってます。
今回は「社会性」を切り口に、クラウドクレジットの「【米ドル建て】アフリカ未電化地域支援ファンド1号」について調べた内容をまとめました。敢えて'利回り'を横において、深掘りしてみると、ソーシャルレンディングの新たな面白さがみえてきた気がします。特徴的なファンドが多いクラウドクレジットの案件は引き続き追いかけていきたいと思います。